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基本のき ご存知ですか?裁判員制度 ~学校の先生編~

「裁判員制度」とは、殺人、放火など重大犯罪の刑事裁判に市民を参加させ、裁判官と一緒に有罪か無罪かを決めさせ、有罪の場合はどんな刑罰(死刑とか無期懲役とか)にするのかも決めさせる制度です。

中学校で学年主任をしています。裁判のあと間もなく期末試験が始まります。出頭すれば試験準備をほかの先生に押しつけることになります。

その程度では、裁判所は当然には辞退させてはくれないでしょうね。裁判所や法務省は、裁判員をやることを納税だとか子どもに教育をうけさせる義務などと同じように国民の義務だと言います。制度自体に反対という確固たる反論で立ち向かって下さい。

 

高校で副校長をしています。生徒に注意をしたり諭したりすることが少なくありませんので、裁判員にはちょうどいいかなと思います。女房には、あなたが人を裁くのはふさわしくないと一蹴されましたが。

奥様に同調します。裁判という作業の中心は「真実を見極める」ことです。それから「被告人の責任の有無や程度の確定」に取り組みます。助言や説教は最後の最後、すぐアタマがそこに行ってしまう方は、裁判とはとても縁遠い人になりますね。

 

中学校で数学を教えています。公民の先生と違って裁判員制度のことはほとんどわかりません。

公民の先生も多く裁判員制度をご存じではありません。「出頭率80%」というのも「予め出頭を断らなかった人のうち実際に出頭した人」の占める比率ですから、高くて当然です。「黙殺率20%」という方が実態に合っていますが、その数字にどれほどの意味があるのか。数学の先生でなくてもおわかりいただける話でしたね。

 

中学の国語の教師です。「ちはやぶる 神代もきかず 裁判員 来てくれないに みな困るとは」という狂歌の説明をしてくれと生徒が言ってきました。

言わずと知れた在原業平さんの歌のパロディーですね。前代未聞のこの制度、出頭激減で裁判所はホント困ってる。いやいや、在原さんもきっと言っていますよ、「困ったらやめてくれないか」って。

 

中学の公民の教員です。天皇が裁判員制度の旗を振ってるって言う生徒がいます。そんなはずがないと言ったら、「先生は新聞読んでいないんですか」と笑われました。

悪評散々のなかで始まった09年の天皇誕生日。天皇「感想文」の中に、「裁判員制度の今後を期待を込めて見守りたい」という台詞があったんですね。突然の「裁判員話」が話題になりました。でも、その直後に最高裁が行ったアンケート調査では、84%が裁判員はノーとやっぱり散々。危機感から天皇まで引っ張り出したお粗末物語です。

 

高校で英語を教えています。若いころ、「12人の怒れる男」で、有罪の疑いをじりじりと無罪に切り返してゆくヘンリー・フォンダにしびれました。あれとは違いますか。

澄んだ青空が無罪に到達した陪審員の思いに重なるラストシーンは忘れられませんね。しかし、裁判員制度は陪審制とはまったく違います。裁判員制度が陪審制への一里塚であるかのように言う人たちが裁判員制度への幻想を振りまいて悪い役割を果たしています。

 

中学校で生活指導を担当しています。最高裁から裁判員制度の説明のパンフレットやDVDなどがどっと送られてきました。これって何なんですか。

だいたいカリキュラムのどこにどのように組み込めというのか。最高裁は、隙間もない教育現場をどれだけ知っているのでしょう。こちらの都合も考えずに送りつけるやり方は文字通り権力的で言語道断です。これで裁判員制度が生徒たちに伝わると思うところに制度の破綻の相が見えますね。

 

高校の保健体育の教師です。国民がお国に強制されて隣人を処罰するという仕組みは、徴兵制度や赤紙を連想させます。

その直感はとても正確です。裁判員法がこの制度への参加を国民の「義務」としていることは、裁判員制度が「国民動員」のシステムだということを端的に示しています。戦時の国民の義務の典型は徴兵制で、その呼出状が赤紙でした。国民が国民を処罰する仕組みの危うさは、国民が人を殺す仕組みの危険性と同じものだと思います

 

高校の音楽の教師です。異業種交流の機会になるのではなんて言っている先生もいます。どう考えればよいでしょうか。

どのような職業の方が裁判員に選ばれるかはわかりませんが、交流の前に何をさせられるかを考えてみて下さい。いきなり裁判を担当させられ、普段見ることのない証拠を見せられ、プロの裁判官に誘導されて質問や意見を言わされ、有罪・無罪や死刑・無期懲役などの判断をさせられ、その上、一生守秘義務が負わされます。異業種交流にくっついてくる負荷があまりに大きいとは思いませんか。

 

中学校で社会科を教えています。どうしてこんな制度ができてしまったのでしょうか。

制度の狙いは、国の行う刑事裁判が正しいものだと国民に示すこと、国民を裁く側に立たせお上の考えに洗脳すること、国のために力を尽くすのは当然だという考え方を国民に植え付けること、国民が判断したのだという言い方で判決への批判を封じることなどにあります。政府や最高裁が言いだし日弁連までが賛成したため、国会でほとんど議論もされないま ま全党賛成でできてしまったのです。

マンガ『全国情報』第11号と第15号から

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