書籍紹介



主な論文

裁判員制度に関する主な書籍(5)

(2004年以降のものを中心に)


「裁判員制度でえん罪はなくなるのでしょうか」 日本国民救援会宮城県本部発行 2006.12

 小田中聰樹・東北大学名誉教授の同名の講演の記録。「裁判員制度がえん罪を克服できるかどうかこそが課題で、真剣に議論されなければならない」と 日本国民救援会宮城県本部庄司捷彦会長(弁護士)が挨拶。応えて小田中名誉教授は、「裁判員制度というのは、人権の立場に立っても、民主主義の立場に立っ ても大きな構造的欠陥を持った制度であり、被告人にも弁護人にも救援運動にも、公正で人権保障的な裁判を妨げる危険のある制度です」と。市民向けのわかり やすい説明、法律用語の解説付きのパンフレット。


「裁判員制度ブックレット−はじまる!私たちが参加する裁判−」最新版 最高裁判所 2007.1

「裁判員制度の導入により、裁判全体に対する国民の理解が深まり、司法が国民にとってより身近な者となることが期待されています」だと。裁判に対す る理解を深めたいか深めたくないかは「国民」が自分で決めることでしょ。最高裁から「私たち」って言われるのも気色悪いし、だいたい「期待されていま す」ってちょっとおかしくない? 受け身の文章って気になって眠れないよ。いったい誰が私に期待してるって言うの。


「説示なしでは裁判員制度は成功しない」 五十嵐二葉 現代人文社 2007.4

「だんだん良くしていこうなんて無責任」とか、「人権保障がだんだん手厚くなった刑事手続きなんて過去に一つもない」と言い切るところまでは立派。 でもね、「いらないって言ってれば廃止できる訳じゃないから少しでも市民参加に向かわせよう」とか、「説示をきちんとさせていこう」なんて言うんだよ ねぇ。著者(弁護士)自身が「だんだん良くしていこう」論者になってるんじゃないか…。よくわかんないなぁ。


「殺人犯を裁けますか?−裁判員制度の問題点−」 田中克人著 駒草出版 2007.4

誰のためのものかと疑問を提起し、制度は問題だらけと断じ、施行を停止し議論をやり直せと主張する。なるほどなるほど。いま、なぜ裁判員制度なのか をあらためて考えさせる。時代の危険な状況をこの著者はどう見ているのか、さらにつっこんだ見識を聞きたい。


「これでいいのか裁判員制度」 田邉信好著 新風舎 2007.5

司法は多数決にはなじまない。行政の政策決定と司法はそこが異なる。大戦に疑問を持ちつつ沈黙した過ちをくり返したくないと吐露し、これは徴兵制だと叫ぶ。元地検検事正、高検部長。最高検検事。実施前の全面改正か実施延期をとの訴えは、一線の検察官たちの掛け値のない本心、本音だろう。


「えん罪を生む裁判員制度」 石松竹雄・土屋公献・伊佐千尋編著 現代人文社 2007.8

陪審制度推進論者の書。えん罪を生む理由、現在の裁判が抱える問題点、公判前整理手続きの問題点などを詳論する。陪審制論者の多くが裁判員制度信奉者に転進した中で、しっかり陣地を守ってるなぁなんて思っていたが、「裁判員制度廃止はあり得ない」などと言われると、アレッと思ってしまう。時代の危うさに対する視点も今ひとつだなァ。「官僚裁判批判」が出発点になるとこうなっちゃうのかしら。


「裁判員制度の正体」西野喜一著 講談社現代新書 2007.8

帯のキャッチコピーが「恐怖の悪法を徹底解剖−元判事の大学教授が<赤紙>から逃れる法を伝授」とものすごい。裏表紙側には、「日本の司法を滅ぼす、問題山積の新制度」として、以下のように問題点が列挙されています。国民の過半数は不要論。違憲のデパートというべき制度。手抜き審理が横行する。真相の追求が図られなくなる。巨額の税金がかかる。犯罪被害者の心の傷。裁判員候補者にプライバシーはない。会社を休んでも本当に給与は出るのか。国のために奉仕すべしという思想。このように裁判員制度の問題性が網羅的に指摘されています。


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